東京都庭園美術館へ
「ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉」を見に行きました
桜が散る前にぎりぎり間に合い着物で行きました
思えば私がガレに出合ったのは25年くらい前のこと
当時はバブル期で高揚していた時代だったせいかガレは毒々しいキノコや昆虫ばかりにスポットが当てられて
ガレはグロテスクな作家、ラリックのが洗練されてて素敵…若かった私はずっとそう思っていた
実際はとても繊細な感性を持った作家だと知ったのはずっと後のこと
(今は便利なことに過去の展覧会が一瞬で調べられる)
「フランスの至宝 エミール・ガレ展」江戸東京博物館2005年1月22日~4月3日
「ガレとジャポニズム」サントリー美術館2008年3月20日~5月11日
この2つの展覧会を通して私の認識はがらりと変わった
裕福な家具職人の息子として生まれ若い頃から才能を認められ賞を取ったり恵まれた作家人生を送っていたガレ
しかし55才で白血病を患い生涯を閉じることになるその3か月前に制作したトンボの作品がなんとも儚くて美しい
私もガレの無念さがわかる程の歳になっていた
そして今回はまた違った印象を持った
今回のテーマはガレの植物学者としての一面なのだけど私としてはガレのアートディレクターとしての一面を強く感じた
実はガレは自分自身で製作に携わる職人ではなく多くの職人に指示を与えて作品を作らせる役割り
いわばオーケストラの指揮者のような存在であったのだ
一人の製作物ではないので作品の数は膨大で種類も技法も様々中には商業的に作られた物も含まれているだろう
でもどこかにガレ自身のメッセージが込められている気がする
私は今回最後に3つのトンボの作品を比較展示してあったのがよかった
初期の初々しいトンボ(左上)中期の意欲満々な時期(右上)最後に前述の晩年の作品(下)
「ガレの庭」図録より抜粋
「自然にとって死は絶望ではなく再生の前提である」
今回心に残ったガレの言葉です
ガラス工芸を見ているだけでいろいろ考えさせてくれるガレやっぱり魅力的で大好きな作家です